SORACOMとAWSで家電話
リレーブログに参加させていただくことになりましたJAWS-UG CLI専門支部の岡崎です。
JAWS-FESTA九州に参加された方は見覚えがあるかも?正解。懇親会でLTしました。
加入電話(東京03などの固定電話)を転送せず外出先で発着信したい。
ということをしたい人は結構いらっしゃるようです。スタートアップで事務員を置く余裕がなかったり家電話を普通に受けたいなど理由は様々。
この話をすると転送電話で済むのではという意見が必ず出ます。しかしボイスワープなどの転送電話サービスを利用すると転送していることがわかる人にはわかってしまい会社の電話などの場合は望ましくなかったり、家電話を携帯に転送するのは高くて嫌だなど、転送せずに電話をしたい人向けの記事になります。
スマホでSIPすること自体は出始めた頃から技術的には可能で、自分もここ7~8年いろいろ試してきました。しかしこれには解決しなければならない問題がいくつかあります。
・SIPへの攻撃が非常に多い
ひかり電話(NTT東西さん)を利用している人は不正利用に関する注意喚起の葉書が届いた。という人も多いのではないでしょうか。わざわざ郵便で注意を促すほど現在のインターネットはSIPへの不正アクセス試行が溢れています。
インターネットに向けてSIPサーバを開けっ放しにするなんてとんでもない。対策が必要です。
・繁華街では実用にならない
やったことのある人はおわかりの通り、繁華街など人の多い場所では3GもLTEもネットワークが混雑していて実用にならないことが多いのです。
SIPはそのプロトコルからパケットロスや遅延に弱く、それらはそのまま通話品質の低下につながるからです。
前者はスマホをVPN接続させっぱなしにしてSIPサーバへ接続させるという力業で解決でき、自分も初期はこれをやっていました。しかし後者は自力で解決出来る問題ではなくどうしようもありません。
そこでSORACOM Airでしょう。
構成図
単純ですね。SORACOMがAWSの中にあるからできる芸当です。
なぜSORACOMなのか。
- 端末からSORACOMのサーバまで完全な閉域網接続
- AWSの中にSIPサーバを設置するのでここまでも安全な接続に
- これによりインターネットを経由しない安全なSIP通信が実現
- MVNO(SORACOM)はMNO(ドコモ)と通信帯域が契約に応じて分けられており、繁華街などでSPモード等ドコモ自体のネットワークが混雑していても影響を受けにくい。
- 原則IoT向け通信サービスなのでバーストしたトラヒックを発生させる人は皆無(のはず)
と、解決したかった問題が解決されます。
特に最後の項目は他社では難しく、SORACOMならではの優位性だと思っています。
電話してみよう
ちゃんと東京03番号で発信できました。転送電話は着信しかできませんからね。
気になる料金は
ひかり電話で使用する音声符号化規格はG.711で、64kbpsの帯域を使用します。
s1.minimumでは帯域不足のためs1.slow以上の料金クラスに設定しないといけません。
待ち受けのみでも定期的にサーバと通信を行うので通信料が月額50円ぐらいかかるようです。SIMの基本料金10円/日(データ通信専用SIMの場合)を合わせて月額約350円ですね。
通話を行った場合ですが、3分間通話を行うとプロトコルのオーバーヘッドなどもあるので上下ともに約2MBの通信が発生し、s1.slowの昼間料金で約2円です。
この値段ならありなのではないでしょうか。
構築次第で内線電話を外出先で受けたり、会社にかかってきて他の人が受けた電話を回してもらうこともできたりとか、夢は広がります。
まとめ
1997年、当時まだIP電話という言葉が無かった頃、ISPでインターネット電話の研究開発をしていた頃のわくわく感や楽しさを思い出しました。今回のSORACOM Airは久しぶりにそんな感覚を与えてくれてとても楽しかったです。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。